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文化伝承者の宇梶静江さん=2024年3月20日午後3時47分、北海道白老町、上保晃平撮影
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 サケはアイヌ語で「シペ」(尊いもの)や「カムイチェプ」(神の魚)と言って、捨てるところがないんです。とにかくたたいてミンチにすれば食べられるからね。

 父ちゃんは鼻っこのところの軟骨が好きで。血合いは栄養があるから、私なんかはそれをよくぺろっと食べていました。たんぱく源として体を温めるだけではなくて、サケの皮はチョッキや靴にもなります。

 サケ漁は「生きること」とつながっています。だから、生きるすべだった漁業や狩猟を解放してほしい。

 アイヌ文化伝承者の宇梶静江さん(91)はそう語ります。北海道浦幌町のアイヌ団体が地元の川でのサケ漁を認めてほしいと国と道を訴えた訴訟の判決が、18日に札幌地裁であります。主な争点は、サケ漁が先住民族の集団に固有の権利(先住権)かどうか。アイヌ民族にとってのサケ漁について、宇梶さんに聞きました。

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